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さらに肥料の改良も進みつつあるようだ。
このように原始農法から近代農業までの、農業の発展史を同時に見られるのは、極めて珍しいことだ。
バザールをのぞいたときに驚いた、農産物の豊富さの理由がのみこめた。
確認した作物は次の通り。
サツマイモ、タロイモ、ジャガイモ、トウモロコシ、サトウキビ、キャベツ、ホウレンソウ、ササゲ、トマト、ナス、ネギ、大根、トウガラシ、バナナ、落花生、カボチャ、ニンジン、キュウリ、カリフラワー、ヤシの実、ユズ、タバコ…。
スロバ村は、かやぶきの屋根、壁面が板張りの、丸いキノコ型の家が、10軒ほど並ぶ村だった。
その夜はこのダニ族の家に分宿することになった。
マラリアは撲滅されたそうだが、念のために予防薬を飲んだ。
1人用の蚊帳も、現地旅行社が人数分用意していた。
女子大生たちは、蚊帳は初めてだから珍しそうにしていたが、他の男性たちは、なつかしがっていた。
下に敷いた干し草がノミの巣になっているらしく、全身ノミにやられる。
石むし料理のイモとバナナの夕食をとり、横になる。
標高が約1600メートルだから、毛布1枚では明け方は寒さに震えた。
にもかかわらず女子大生たちは、まるで修学旅行気分で騒いでいるのだから、一体どうなっているのか。
トイレもないから、雨のなかをジャングルへと用を足しに行ったらしい。
トウモロコシとトマトの朝食をすませ、しばらくたつと、女子大生の借り切った小屋が、いやにシーンとして物音ひとつしない。
寝ているのかと思って声をかけても、もぬけのからだ。
心配になって探し始めると、ジャングルのなかで歓声が響いた。
広場に村の若い女性10人ほどを集めて、ディスコダンスを教えて大はしゃぎだ。
これには感心するやらあきれるやらだ。
私は彼女らがカルチャーショックかホームシックで、きっといつかは泣きだすだろうと、なかば期待もしていた。
しかし、その期待は見事に裏切られた。
スロバ村のすぐ手前のイモ畑で、掘り棒を使って耕作していたおばあさんが、左手をかざして見せた。
親指以外はすべて半分しかない。
びっくりする女子大生たち。
一行は民族学(文化人類学)に興味を持つ連中だから、観察や撮影に熱心だ。
この村では掘り棒による耕作もしている。
もともと焼畑農業とは、最も原始的で、農業の原型といわれるものだ。
山林や原野の草木を焼き払い、そのあとに畑を開く農法で、初めは焼却した灰が肥料となるが、12年で地力が衰えて不作になるので、また別の場所に焼畑を開かねばならない。
石むし料理ができるまでの問、広場ではペニス・ケースや石器類、楯などが並べられ、バザールが始まった。
ニューギニア中央高地では、女は身内の者が死ぬと指をつめる習慣があると説明すると、1人が言った。
「日本人に生まれてよかった。
でも亡くなった人を追悼する気持ちの強さは素晴らしいことだと思う。
」そもそも彼女らが参加するようになったきっかけは、文化人類学の講義で、前年に次のような私の体験談を聞いたからだという。
初めてイリアンジャヤの奥地に足を踏み入れたときは、決死の覚悟だった。
ニューギニアといえば「人食い人種」、「人食い人種」といえばニューギニアと、こだまがかえるぐらい、「人食い人種」の国として有名だった。
「人食い人種」呼ばわりした本が氾濫していたし、映画やテレビでも「これが人食い人種だ」として紹介されていた。
だからエナロタリからキャラバンを開始したときは、完全武装したインドネシアの特別隊30数人に護衛されていた。
ところが途中のどこの村の人たちも、みんな親切で、お人よしで、素朴なことを知り、私たちは自信をもって護衛の兵隊たちに帰ってもらい、私たちだけで丸腰で、さらに奥地を目指した。
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